2017年12月13日

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大学院工学研究科 電子工学専攻 電子制御工学講座

東北大学
大学院工学研究科 電子工学専攻 電子制御工学講座

担当教員:教授 金井 浩,講師 瀧 宏文

 

【研究室の概要】

医用超音波診断装置は,放射線被曝が無く非侵襲であり,安全・簡単に生体内の断層像を取得できる有用な装置です。その基本技術(心臓断層像の描出1964年,血流速度の計測1971年,同装置1982年など)は,医用超音波診断の研究開発の黎明期から,本学菊池喜充教授(日本超音波医学会初代会長)をはじめ本研究室の先輩が世界に先駆けて開発してきたものです。現在,本研究室では,健康を支える医用超音波診断技術を発展させる生体組織高精度イメージング法,機能・特性評価法,高分解能イメージングを研究しています。

 

【研究室の具体的なテーマ】

非侵襲赤血球凝集度の定量評価

血液の性状評価は循環器疾患の早期診断に有用であるとされています。血液性状診断法の一つに赤血球凝集度評価がありますが,採血が必要であり,侵襲性の問題から長期間,継続して測定することが困難です。赤血球凝集により超音波画像上に不均一な高輝度エコーが出現しますが,定性的評価であり,非侵襲な定量評価法の実現が望まれています。

本研究室では,超音波後方散乱の周波数特性を利用した散乱体サイズ推定による赤血球凝集度評価法を開発しています。血管後壁エコーのパワースペクトルを用いて血液エコーのパワースペクトルを正規化し,送信超音波特性や伝搬経路での減衰を補正します。正規化後の血液パワースペクトルと,各散乱体サイズの理論パワースペクトルを比較し,赤血球凝集体のサイズ推定を行います。本課題は,岩手医科大学医学部内科学講座糖尿病・代謝内科分野石垣泰教授と協働研究し,臨床データを用いた提案手法の高精度化と実用水準への改善を進めています。

頸動脈壁内腔面の微小表面形状の超音波計測

動脈硬化症の極早期段階では内皮細胞や内弾性板の損傷が生じ,血管内腔面が粗くなることが知られています。血管内腔を覆う内皮細胞は厚さが10~20μm程度と非常に小さいため,高い軸方向計測精度が必要です。しかし,生体は不均一媒質であり,ビーム間で伝搬経路内の平均音速が異なるため,ビーム間での血管内腔深さの比較では軸方向計測精度が低く,血管内腔粗さを推定できませんでした。

上記課題を解決するため,心拍動による頸動脈の長軸方向移動を利用し,微小な血管内腔粗さを計測する手法を開発しました。本手法は,あるビームの1心拍データを用いて,1心拍中に生じた長軸方向移動分の血管内腔粗さを推定します。これを全ビームについて行い,得られた内腔粗さを繋ぎ合わせることで,血管全体の内腔粗さを推定します。本手法により,動脈硬化症の極早期段階での定量診断法確立を目指しています。

 

【研究室のPR】

医療と健康を支える医用超音波技術の創成を目指して,工学と医学の連携を行い,高度な信号処理法開発と新しい超音波技術の実用化に取り組んでいます。

【もっと知りたい人のために】

http://www.ecei.tohoku.ac.jp/~hkanai/index.html