福島大学
共生システム理工学類人間支援システム専攻 永幡研究室
担当教員:教授 永幡幸司
【研究室の概要】
永幡研究室(通称:サウンドスケープ研究室)では,サウンドスケープ概念を研究の中心に据え,よい(良い・善い・好い…)音環境とはどのような音環境なのか,それを実現するためにはどのようにしたらよいのかについて,探究を進めています。
【研究室の具体的なテーマ】
バリアフリーな音環境のデザイン
音響式信号機や鉄道駅の音案内など,音を用いたバリアフリーデザインは,都市部を中心に広く整備されるようになってきました。でも,このような音を設置さえすれば,バリアフリーな音環境ができる訳ではありません。バリアフリーのために設置した音が,騒音問題など新たな問題を生み出すことまであります。そこで私たちの研究室では,音によるバリアフリーを音環境全体の総合的問題として捉え,より多くの人にとってバリアがないと感じられる音環境をデザインする方法を,視覚障害者をはじめとする様々な当事者の方々との対話を重ねながら,考察しています。
大規模災害被災者の生活環境における音環境の問題
2004年の新潟県中越地震の際,旧山古志村の被災者の支援活動に関わった縁から,避難所や応急仮設住宅における生活環境の問題についての調査を始めました。今般の東日本大震災に際しても,応急仮設住宅や復興公営住宅の生活環境の問題について,音環境の問題を中心に,騒音測定と社会調査を行ってきました。これらの研究で得られた知見を基に,将来の大規模災害に備え,避難所,応急仮設住宅,復興公営住宅等のあるべき姿について,主に音環境の面から,検討を重ねています。
原発事故後の福島の音環境の変化
東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質は,福島市にも多く到来し,福島市民の生活にも影響を与え続けています。その結果として,福島市のサウンドスケープは未だに変化を続けています。2011年5月からこの変化の様子の記録を続け,サウンドアーカイブとして,ホームページで公開しています。
【研究室のPR】
音環境の問題は社会と密接に関わる問題です。そのため,私たちの研究室では,研究の中だけでなく,例えば環境教育のような社会に開かれた場を通しても,子供たちを含む市民の方々と積極的に交流するよう,心がけてきました。音環境の問題に関心のある皆さん,ぜひ,お声掛けください。一緒に,考えましょう。